風の吹くまま日記

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ヤマ「だからさ、他人には強がったりしてても、本心は別ってことあるよね。

   松岡さんが、自分は永遠の処女であることを 本当はどう感じてるのか、キョーミない?」

私「あ そういう意味?」

ヤマ「なんだと思った?

   『カンソー・・・・・ あなたは選ばれたカンソーイチジクです・・・・・・・・』

   とか松岡さんの耳元で囁いて、ダッシュで逃げて来るって思った?」

私「うん。」

ヤマ「あんた、ほんとバカよね。ずっとバカだと思ってたけど、

   今 その3倍バカだって分かった。」

私「だーかーらー。どうやって探るの?」

ヤマ「だーかーらー。人間には深層心理ってのがあってね、そのものずばりの会話からじゃダメ。 

   むしろ遠まわしに、一見何の関係もなさそうな会話から その人の本心を分析して探り出すのよ。」



すげぇぇぇぇぇ。山城君、人間を手のひらの上で転がしてるよ いつのまに!?



行動予定表を見ると、午後の1時間ばかり 他の職員が会議や音楽療法の介助やらで全員出払い、

ナースステーションに残るのは 松岡さんと山城君だけ、という日がある。

私はパートなので会議その他には無縁、常時ナースステーションに居る立場だ。

いよいよその日がやって来た。




ヤマ「松岡さん・・・・・。

   いちじく好きですか?」


まんまじゃん!!


ナースステーションの隅っこで 私は居住者の遠足用のネームプレートを書きながら、

耳はバリバリダンボ もしくは でっかくなっちゃった!マギー審司状態。 



マツ「え?・・・・・何、いきなり。

   ・・・・・好きだけど。みずみずしくて美味しいじゃない。」

ヤマ「それが乾燥しちゃったんですよ。

   いつか食べようって台所に置いといたんですけど、

   そのまますっかり忘れちゃってて。気がついたらもう カサカサ。」

マツ「あらあら、忘れ去られたのか。かわいそうに。

   乾燥?・・・・・ふーーん、風通しが良かったのかしら。

   ヒビ入ってない?



ヤマ「もう食えないですよね。」

マツ「そんなことないわよ!

   腐ったわけじゃないんだもの

   乾燥したら乾燥したで、また別の美味しさが味わえるのよ。」

ヤマ「水で戻すとか?」

マツ「そうね。その水に砂糖を加えて煮詰めてみたら?ジャムみたいに。

   形はなくなるけど。」

ヤマ「うーーーん・・・・・甘いのはちょっと・・・・・・・。」

マツ「ニオイとかないの?ほこりくさくない?

ヤマ「いや、そこまで顔近づけてないから・・・・・・・。」
   
マツ「よく見て。カビてないんでしょ? 私なら、はちみつ塗って食べてみるわ。」



ヤマ「松岡さんには 捨てるっていう選択肢はないんですか?」

マツ「もったいないじゃない。何にでも使い道はあるのよ

   そうそう、Aさん(居住者:男性)のご家族の方がね、いつだったか 

   いちじくを差し入れてくれたのよ。Aさんが大好物なんだって。」

ヤマ「Aさんが?」

マツ「そう。あ、Bさん(居住者:男性)も好きだって。一緒に食べてた。」

ヤマ「Bさんも?」

マツ「男の人って、いちじく好きなのかしらね。」





山城君の結論。



松岡さんは 自分が処女であることに全く劣等感を持っていない。

むしろ誇りにさえ思っている。

その上 自分は爺さんたちの 「オナペット」 だと 目で言い切った。
   

                ※オナペット=死語。現在で言うところの「オカズ」




私「じゃあ、じゃあ、あたしたち・・・・・・・・・・・」

ヤマ「そうよ。夕日に向かって叫びながら走ってもかまわないのよ!」







imag8e11.jpg




施設の職員間に、「乾燥いちじく」が浸透するのに 3日かからなかった。
   


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